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理沙子の仕事は季節ものである。
大きな山が8月にひとつあり、4月からの数ヶ月はその準備期間と言っても過言ではない。
本番がはじまる8月1日。
仕事が無事に終わった理沙子は西谷を飲みに誘った。
同じ仕事なので、毎日一緒に帰っていたが
「先輩が飲みに誘う」ということで断りにくくなり気を使わせてしまうのではないかと考え、今までは誘えないでいた。
とにかく今日の理沙子は飲みたい気分であった。
「とりあえず1日目が無事終了したということで。お祝いに軽く飲みましょうよー」
西谷は少し驚いた顔で
「えっ、月曜日ですよ。初日ですよ。。。」
と一歩引いて笑った。
まずったかなー、とも思ったがもう後には引けない。
今日は飲みたい気分なのだ。
ここは押し切るしかない。
「ま、ま、軽く軽く。今日のお祝いと明日からのゲン担ぎってことでさ。お姉さんが奢ってあげるから。」
半ば強引にチェーン店のBARに連れて行った。
先月一度、課の若手数名で飲みに行ったが、どうも西谷はお酒があまり強くない様子であった。
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