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理沙子と元彼は同じ大学の同期であった。
1浪したが、浪人時代は趣味に没頭してしまったため、
国立大学は悉く落ち、
私立は学費が高く、
もはや「大学生活」が夢と消えそうな瀬戸際でふと目にとまった理系大学。
名前もそこそこ有名で、夜間のため学費も安い。
文系だった理沙子はあっさり理転し、
なんとか大学生活の切符をつかんだ。
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入学式の日。
理沙子は携帯電話から、某巨大掲示板を眺めていた。
「○○大学ヲタ専用スレッド」
スレタイで全てを表しているそのスレッドに、理沙子は合格通知を受け取った時から出入りしていた。
―ヤバい、入学式のうちの学科皆髪染めててチャラそう。大学生活終わったわw
―安心しろ漏れもだ。
―入学式の入り口がわからん、もまえらどこから入ったんだ。
顔も名前もわからないネット上の会話であったが、
入学式が不安な理沙子にとっては心の拠り所であった。
式が無事終わり、
部活の紹介がはじまった。
何の気なしに見ていた紹介で、一際理沙子の心に残ったサークルがあった。
どこのサークルも趣向を凝らして決められた時間内で目一杯紹介をしている中、
男性が1人つかつかと壇上に立ち、
「ヲタの同士たちよ、我が元に集え。真人間、リア充はお断りだ!以上!」
とだけ朗々と言い、1分も立たずに終わってしまったサークルがあった。
あのスレッドの仲間がいるかもしれない
理沙子はそう思い、部活紹介後、そのサークルのブースに足を運んだ。
そんなに人気はないだろうと踏んでいたが、
案の定、隣のブースが盛況な中で座っている新入生は1人だけであった。
その彼が、後に理沙子の元彼となる。
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