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そしたら突然、陽気な電子音がした。  チャラララ、みたいな音と光の方向を見ると、さっきAに叩き落されたスマホだった。誰かから電話が掛かってきたらしい。  なりふり構わず全身でスマホにタックルした。 耳でも鼻でも舌でも、なんでも使って出てやろうと思った。  運が良かったのか分からないけど、誰かと電話がつながった。 「もしもし! もしもし!」 「あ、M~」  聞き覚えのある声がする。 「いま、Jと漫喫から帰るとこなんだけど~」  ……ゾワッとした。  Aだった。 「なんでA、電話……」  いま私の身体つかんでるじゃん、と言いたかったけど、歯がガチガチ震えてうまくしゃべれない。  電話の方のAは全然違うことを答えた。 「だって昨日Jと飲んでたら幽霊っぽいの見ちゃって、怖いから二人で漫喫泊まってたんだよ。Mは今どこ?」  今どこって何?  AがLINEで誘ってくれたんじゃないの?  私に来いって言ったの誰?  ドア開けて出迎えてくれたの誰?  今私の背中に張り付いてるの、誰?
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