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「い?いやぁ、俺の方こそ…」
熊野は、バツが悪そうに頭を掻いた。
「あの後色々考えたんだ。
俺、アイツだけには負けたくないって、会社入ってからずっと思ってて。
途中からは、君を通してアイツと張り合うのが目的みたいになってた気がしてさ」
「アハハ…、それはそれで少しショックな気がします」
苦笑いの燈子に、熊野は慌ててフォローした。
「あ、誤解しないで。
君が好きだった気持ちは本当さ、嘘じゃない。
そもそも、最初に好きだって言ってたのは俺の方だったんだぜ?それをアイツが…」
それから熊野は燈子に向き合い、小さく頭を下げた。
「短い間だったけど、トーコちゃんと付き合えて嬉しかったよ、ありがとう。
ただな…気持ちの強さでいったら、やっぱりアイツに負けてた気がしてな……
ま、君が幸せならそれでいいさ」
少し寂しげに笑った熊野。
「く…」
お酒が入っている燈子の涙腺は弱い。
「くまの…さぁんっ!」
「わっ!ち、ちょっと…トーコちゃんっ」
さらに抱き付き癖まである。
「こ、困ったな……」
戸惑いつつも熊野は、胸に顔を埋め、肩を震わせる燈子の背にそっと手を回しかけた。
と_________
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