2 突然の災厄

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「し、しかし…  いいえ、ありがとうございます。こうなったからには誠心誠意、務めさせて…」  3度断り、さあyesの返事、という時だ。   「まあ、待ちたまえ。 ……人事部長?」  社長が人事部長を呼んだ。  すると、控えていた人事部長が、神経質そうに血走った目をギョロりと大神に向けた。 「大神君、あのね。  ウチの人事の内規のことなんだけど、知ってる?」 「あ、はいっ、いいえ…済みません」  彼はゴホンと咳払いをした。 「あのね。支社長は、単身赴任が許されないの。  必ずご家族と行ってもらう事になるんだよ。独身もダメ。地域に密着してもらわないといけないから、ね?」 「はあ…」  そんなん、あったっけ? 「で、君だよ、大神君。 まだ独身だったよね?決まった相手、いないの?」  三鷹社長は、なに食わぬ顔で尋ねた。  一瞬、ほわっとあの子を思い浮かべ、そして慌てて否定した。 「い、いえ、特には」 「……そうだっけ?確か…」  社長は少し不満そうな顔をして、それから隣の松嶋秘書にちらりと目をやった。 「あ、いや…それはそのっ」  そうだった。  俺は表向き、松嶋の交際相手ということになっている。実際は、社長のダミーなのだが。  社長が得心したようにニッコリ笑った。 「な、丁度いいだろう?  この機会に二人、結婚しちゃいなさい」 「え…」  ええええええエエエっ??
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