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3 究極の2択
「いいんじゃない?別に」
都内のシティホテルの一室。
今日は、大神と松嶋の交際を内外に示すための、社長公認デートの日。
ベッド脇に腰掛け、熱心にマタニティ雑誌を読みふける松嶋七緒は、大儀そうに答えた。
「でも、君だって嫌だろう?
俺と『結婚』だなんて」
大神はずいっと距離を詰め寄ると、彼女の手から雑誌を取り上げた。
社長の提案には、松嶋だって迷惑しているはずだ。
お気に入りの彼女が嫌だと言えば、社長だってきっと考え直すに違いない。
そう踏んだ大神は、彼女を切り崩しにかかったのだ。
交渉事や根回しには、少なからず自信がある。特に相手が女性なら、舌先3寸で丸め込むのは、彼の最も得意とするところだ。
ところが…
「あら別に?私は構わないわよ。
これまでと一緒、フリだけしてればいいんだし。
そもそも、アンタと夫婦やる気なんかサラサラないからね~」
うぐっ…
喉を詰まらせた大神から雑誌を奪い返すと、彼女はまた読んでいたページを探し始める。
大神の話などまるで聞く気がないらしい。彼はなおも食い下がった。
「いや、そうは言っても。
結婚となると色々あるだろう。子供だってさ?大きくなったら
“あれ?ウチの両親、何かほかと違う”
と思う瞬間が、必ず来る筈だ。そうなれば思春期の心に大きな問題がだな…」
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