1 小さな幸せ

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 ベンチに腰かけて一休み。  ドリンクを飲みながら、朝焼けに染まる景色を見るともなく眺めていると、真っ白なプードル犬が視界に入ってきた。  さらにそのリードの先には、清楚な雰囲気の妙齢の美人。  __彼女、よく見かけるな__  一昨日もその前の日も、いつもすぐ先の水のみ場近くで一休憩し、ワンコを遊ばせていたはずだ。  もしかして、もしかすると。  大神の経験上、これは自分に気がある予兆(サイン)。  試しにチラッと視線を投げると、チラチラと向こうからも合図が返ってくる。  よし!イける。  大神はベンチを立つと、にこやかに彼女に近づいていく。 「やあ、よくお会いしま…」  成せない恋の苦しみから、彼が仮初めの恋へと逃避しようとした時だった。
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