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大神はその半分を一口で齧り取ると、むっと顔をしかめた。
「うっわ甘っ。何だよこれ、餡に…」
「バターがたっぷり!美味しいでしょ、ね?
餡とバターのハーモニーに、私今、すっかり嵌まっちゃってまして」
熱く語りはじめた彼女に、大神は呆れ果てた。
「コッペパンに餡にバターがたっぷり…
炭水化物だらけじゃねぇか。
折角走ってカロリー減らしたのに、こんなもん食ってたら、全く意味がないだろうが」
「うぐっ…」
「いいか?もしお前が、本気でダイエットしたいんならな」
言葉を詰まらせながらも、もう取られないようにと、急いでそれを平らげている彼女。
その耳元で、大神は会社同様、怒鳴り付けた。
「ちゃんとカロリー計算して!
栄養バランスを考えた朝飯を!
自分で作って持ってこい!」
「ううっ…ごもっともです…」
う、しまった。
すっかりショボくれてしまった彼女に、彼はすかさずフォローを入れた。
「まあな…人はそれぞれだ。
俺は、食い物は旨そうに食う方が好きだし、ちょっとくらいふっくらしてた方が…
す、好きだけどな」
抱き心地が良いからな。
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