1 小さな幸せ

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「そうですか!?  やっぱりそうですよね~」  …うっ。  ぱっと朝日に弾けた笑顔に、一瞬くらっと目眩がした。  高鳴る鼓動を、腕時計を確認するふりで誤魔化した大神は何とか冷静さを保ち、腰を上げた。 「…い、いかん、もうこんな時間だ。じゃあまた会社で。 今日は遅刻するなよ」 「ふぁ~い」  気の抜けた燈子の返事を聞くか聞かないかのうちに、大神はダッシュでその場を逃げ去った。  しかし…ラッキーだったな。  朝から彼女に出くわすなんて。  そういえばアイツの家、この近くだったっけ。  ニヤッ。  思わず頬を緩めていると、通りすがりの老夫婦に、不気味そうに体を引かれ、慌てて顔をもとに戻す。 __しかも…  アイツは気付かなかっただろうが、実はさっきの、こっそり間接キスだった__  ニヤッ。  と、向こうからやってきた朝練に向かう部活生の一団が、チラチラと彼を見ながら囁いている。  彼は再び、キリッと顔を整えた。   __いかん、俺としたことがまた…  アイツが絡むとどうも調子が狂ってしまう。   今日は何だか良い日になりそうだ。  今朝の夢、やっぱり逆夢だったかな…  さて、余分なカロリー分、もう1km延ばすか_______
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