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「すまんな、呼び出したのに待たせて」
「気にするな。アヂンが忙しいのは私も分かってるからな」
書類整理を終えたアヂンに淹れたての紅茶を渡しながら軽い談話をする。アイリスにとってこの空間が何よりも心地良い時間だった
「………………なぁ」
「ん、どうした?」
今まで楽しそうに談話しいていた二人だがアヂンが急に黙り、真剣な表情でアイリスを見つめてきた
「こんな雰囲気でこんな事を言うのも変なんだが言わせてくれ。アイリス、俺と結婚してくれ」
「………………」
アヂンの唐突な求婚にアイリスは目を見開いてアヂンを見つめてしまった。お互いに暫しの無言の末に最初に動いたのはアイリスだった
「何だよアヂン、遂に人形趣味に目覚めたのか?」
「………………アイリス」
「でもラードゥガのボスが人形趣味なのはどうかと思うぞ?それも人形に求婚をするなんて変態だぞ?」
「………アイリス」
「それにアヂンはモテるから人形趣味がある何て言ったらロシアの女達が泣いちゃうぞ」
「アイリス!」
「………………」
アヂンの言葉に先程まで笑っていたアイリスは何処か居心地の悪そうな顔を浮かべながら視線を外す
「………何で私にそんな事を言うんだ?他に良い女なら沢山居るだろ?何で私なんかを………」
不貞腐れながらもアイリスは何処か落ち着かない様子でチラチラとアヂンを見ている。アヂンも何処か困った様子で苦笑を浮かべていた
「確かにロシアには良い女は沢山居るがアイリスよりも良い女なんて居るわけないだろ?それに俺は人形趣味なんて無いぞ?俺が好きになったのはアイリスだ」
「ハっ!アヂンは相変わらず女の扱いを分かってるな。普通の女なら今ので確実に落ちてるぞ」
「そんなつもりは無いんだがな」
「それに今はボンゴレと同盟になって色々と他の所が五月蝿いんだ。今はそんな事を言ってる場合でもないなだろ?」
「顔が真っ赤たぞ。照れ隠しか?」
「!?バーカ!誰がお前何かに照れるか!」
アイリスは荒々しく立ち上がりドアノブに手を掛けて足を止める
「………生憎だが私はお前の正妻にはなれない。これは私の意見じゃない、ファミリー全体の為だ。その代わりだが。あー………側室にならなってやるよ」
それだけ言い残してアイリスは部屋を出ていった
「本当に素直じゃ無いなアイリスは」
部屋に残されたアヂンは苦笑を浮かべていたが何処か満足そうな笑みを浮かべていた
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