生まれたての赤子のように

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  俺の親友の脳髄には、【歴史】が無い。 …【記憶を喪ってしまっている】と言えば解(わか)るだろうか。 振り返るもの 思い起こすべき過去 【とある事象を除く】他の一切を、彼の脳波は【拒絶(シャットアウト)】してしまったのだ。 親友の名は飯島久介。 俺はそんな飯島の面倒を看ていた医者の息子だ。 飯島は交通事故に巻き込まれてうちに運ばれて来た何人かの一人だった。 暴走した車が時速60キロは下らないスピードで休日の公園に突っ込む…近所では中々に見ない大事故で、飯島と、サッカーに興じていた同年代の子供たち、その親たち計6人が犠牲になった。 「運ばれた三人のうち、助けられたのはお前と同じ歳の子一人だけだった」と聞かされ 俺が感じたのは、同情でも共感でも無く…其処に【責務】がもたらされたと云う事実だけだった。  
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