生まれたての赤子のように

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  記憶を喪った人間が如何なるか 答はそう、多くない。 何も考えられない【廃人】と化すか、混乱を抱えた【異端者】と成るか… どの道、普通に生きていく事は叶わないと言われている。 飯島はどちらかと言えば後者で、抱えきれない不安を紛らわすべく中学時代は喧嘩に明け暮れていたそうだ。 此れも俺の中では 「いつか俺達に制裁を加えようとしているのか」という解釈で 俺は中学時代、徹底的に飯島を避けて来た。 いざという時の為に、護身術を習うまでに至っていた事は此処だけの話にしてくれ…。 飯島は当時を、驚く程あっけらかんと振り返る。 まるで他人事だった。 「マスコミは好き勝手言ってたけどさ、記憶無くなったからって何も困りゃしねーんだよ。そりゃーちょっと怖くなって、荒れた時期もあったけど!」 (…運命…か。) 「親父が庇って助けてくれた事だけは、はっきり覚えてっから!!」  
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