キャッチボールが変えた運命

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  この日の飯島は、まるで準備でもしていたのかと疑う程に喋った。 言語を当て嵌めるとすれば そう、【プレゼン】だ。 「と、ゆー訳で!野球とは即ち青春!!野球無くして青春無し!!どーですか錦戸さん!野球部に入りませんか!!」 (お前、記憶無くす前はサッカー少年だったくせに…) 口が裂けても言えない台詞だが、昨日からずっと此の調子で喋り続けている。 お陰様で今日も、寝不足だ。 「……飯島、」 「おっ、何だ!?」 「入るって言ったら、昨日から続いてる其のプレゼンは終わるのかな」 「そーだなー、決まったら決まったで次はノウハウ叩き込むから、暫くこんな感じかもなー!」 あはは、と豪快に笑う飯島。 (…確かに【異端者】だ…) こいつは間違い無く何かの箍(タガ)が外れてしまっている。 俺はがっくりと項垂れ、其れ以上の説得を諦めた。 そうなると当然、ホームルームが始まるギリギリまでプレゼンは続くのだ。 幸いなのは同じクラスでなかった事くらいだろうか。 (隣の席にでもなったらと思うと、ゾッとする…)  
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