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私が働いていることに、少し驚いていたけど、この海の町から出て行きたかったのだということは言わなくてもわかっていた。 「大丈夫?りお、顔色悪いよ。だいぶ痩せたみたいだし」 レモネードを飲みながら、なつきが話しかけてくる。 クラスのほとんどが未成年なので、同窓会と言ってもお酒はない。 ほとんどが地元の大学に通っていた。 県外に出たのは数人だけ。大学に行かずに働いているのはさらに少ない。 みんな楽しそうだった。幸せそうに笑っている。 唯一の親友、なつきも同じように。 私だけが疲れ果てていた。しおれた花、乾いた雑草。もう、今にも壊れそうだった。 「うん、仕事が忙しくてね」 無理して作った笑顔。自分の心を押し潰して作る仕事用の笑顔。 もう、ここにも私の居場所はないとわかった。 「もっと、ゆっくりしていけばいいのに。パパも帰って来て、がっかりすると思うわ」 あの女が、さも残念そうに言う。 そんなこと、まったく考えてもいないくせに。 私は仕事を通して身につけた、柔和な仮面を被ったまま、笑顔で丁寧に断り、実家を後にした。 潮臭い、海の町。海の家。海の人たち。 「よう……」 駅に着くと、昨日の同窓会で見た顔の男の子がいた。 同級生の福井翔太。 「福井くん。こんにちは。お出かけ?」 「お前を待っていたんだ。もう帰るって聞いて」 「そう……」     
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