凪の海

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でも、そんなこと言ってても仕方がない。 好きなのは私で稲美ではないのだから… 「はい、みんな注目!!  ホームルーム始めるよ!!」 担任が入ってきて話は中断する。 「今日は2つお伝えすることがあります。  まず、1つ目は今週末から始まる夏休みの間に海の家でアルバイトをしてくれる人探してます!  …とりあえずは4人ね!  誰かやってもいいって人居ますか?」 「私がやります!」 私は真っ先に手を挙げる。 これは、私の夏休みの日課だからだ。 もちろん、私が立候補したら……。 「ほな、うちもやらんとあきまへんな。 うちと葉月はセットでお得って言うやろ?」 稲美が周囲の笑いを誘いつつ、参加を表明する。 これもいつも通り。 「じゃああと二人ね…。  やっぱり居ないみたいね…。」 これもいつものこと。 やっぱりみんなは夏休みくらい遊びたいみたいだ。 それに部活もあるしね。 「先生、俺もやっていいっすか?」 だから余計にビックリした。 まさか海也が手を挙げるなんて…。 「おっし!じゃああと一人ね!」 先生は何事も無いように話を進める。 けど、いくら海也が来ても状況は変わらず、結局手を挙げる人は居なかった。 「うーん………。じゃあこの話はここまで!  もうひとつ、このクラスに転校生が来ます!  海瀬君入って!!」 「こんにちは!海瀬祈李(うみせ いのり)って言います。  これからよろしくお願いします!  ところで先生、さっきのアルバイトって僕もできます?」 転校生なんて…。 こんなところに来るなんて相当珍しい。 「いいわよ、じゃあ海也と葉月に稲美、海瀬君に任せるわ。」 ……まさかの転校生、海の家アルバイト選抜メンバーに選ばれるの巻。 (アルバイト選抜メンバーってなんやねんby稲美) (適当に命名してみたby葉月) 「葉月…  海瀬君ってなんかかっこよくない? うち結構タイプなんやけど…。」 まさか稲美にも春到来? このときは、稲美を弄るネタが出来たなんてことしか考えてなかった。
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