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いよいよ待ちに待った夏休み。
私は海凪の家に稲美と二人でいた。
「にしても遅いね、海也と祈李君。」
「まあ、言うてうちらが早く来すぎただけやろ。
うちの場合、緊張しすぎて眠れんかっただけなんけど…。」
…稲美が恋する乙女だ~…。
とかいって、私も眠れなかった人間だ。
海也と夏休みに会うなんて、海凪神社以外ではない。
海也が普段どんな生活をしてるか、そもそも家がどこにあるのかも知らない。
この最後の夏休みに少しでも進展出来たらいいんだけど……。
「おーい、葉月!荷宮さん!
お待たせしました。」
「荷宮さん、森沢さん、おはようございます。
よろしくお願いします。」
海也が元気良く、祈李君が落ち着いた感じでやってきた。
なにかすごくお似合いの友達だなって思う。
正反対の二人。私と稲美みたいに。
「おはよう!海也…と海瀬君?
今日からよろしくね!」
「祈李でいいですよ、僕も葉月さんって呼ばさせてもらうから。」
祈李君からそう言われる。
ならもう祈李君でいいよね。
「うちは稲美でお願いね!
祈李も海也君も、呼び捨てでいいよ!」
稲美もそう挨拶する。
「じゃあ行きましょうか、海也、稲美、祈李君。」
一番バイト経験の長い私がリーダーだから引っ張っていかないと。
「いらっしゃい~…。
って葉月ちゃんと稲美ちゃんか、後ろの二人は君たちの彼氏?二人ともカッコいいじゃないか!」
「ちょっと!碇さん!そんなわけないじゃないですか!
今回のバイトのメンバーですよ…。
ほら、海也、祈李君、挨拶挨拶!」
「神薙海也です。お願いします。」
「海瀬祈李です。よろしくお願いします。」
海也と祈李君が挨拶する。
「海凪神社の子と海瀬君ね……。
……これはまた奇縁な組み合わせだな……。」
「うん?碇さんなんか言った?」
「なんでもないよ、じゃあ仕事の話をしようか!」
説明を聞いて早速シフトに入る。
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