駒元奈良未・安佐未姉妹を取り巻いていた環境

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駒元奈良未・安佐未姉妹を取り巻いていた環境

さて、アメリカ国家安全保障局(NSA)では日本政府の動向調査と並行して、当然ながら、一躍「時の『サイボーグ』」となった姉妹についても、我がITVに調査を依頼していた。以下、当該内容について記述する。 当初、姉妹は、前述した通り 「超肥満女子中学三年生。 教室で『きもめがね』女子トイレで、お小遣い恐喝、下駄箱に毛虫大群、体育授業後は制服隠し、等々。 教師も含め、地域・学校ぐるみで、いじめられの毎日。 ただし、生まれつき盲目・歩けない車椅子生活の妹だけが、唯一の味方。 両親は、死別。親戚も音信不通。役所からも見放された。 本人は、学校帰りに、デパートの清掃深夜バイトと、生活保護で生計維持。 この生活は、既に十年以上が経過。 姉妹は、もう限界点」 という状態にあった。 しかし、周知の通り「防衛省 自衛隊 高度国際間・国内紛争問題研究・解決・処理本部 中央管制隊(前 独立行政委員会 国立再生治療先端科学研究所 第66研究室 通称「チームサイボーグ」)により、姉妹の両者は、サイボーグとして生まれ変わることとなった。 姉の駒元奈良未(こまもと ならみ)は、幼女の身代わりとなって交通事故に遭い、体は本人とは判別不能なほど損傷が著しく、ほぼ即死と判断されてもおかしくない状態であった。妹の駒元安佐未(こまもと あさみ)は事故当時、姉の奈良未と一緒だったが、事故には巻き込まれなかった。 「チームサイボーグ」はというと、主だった成果をあげられず、組織の中で日毎に焦っていった。実験体情報が全く無かったわけではない。脳死、溺死、今回のような交通事故死、様々な情報はあった。だが、ほんの少し、時間がずれていた。本当に死体では、実験体にならない。かといって、生きている人間を実験体にするわけにはいかない。何例も成功すれば、生きている人間でもサイボーグ化が可能になるだろう。目標は「遺伝等による歩行困難、視聴覚疾患の画期的治療技術の提供」である。新鮮な情報がほしかった。でも、そんな都合のよいものがあるのか、と当時の「チームサイボーグ」室長の三嶋隆信、主任研究員の坂東直哉、研究員の亜麻菜みくが思い続けていた時、姉妹の情報が国立再生治療先端科学研究所に飛び込んできた。偶然ではあるが、経緯は次の通り。
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