雪と女と私と夫

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「まあ、それは心細いですわね。でも……」 含んだように間を置いて、女は続ける。 「ご主人は、本当に多忙で帰宅されないのかしら?」 「え?」 「いえ、男の人って、仕事を言い訳にして、実際何をしているかなんて分からないじゃないですか」 「主人が浮気をしているとでも?」 「いえ、一般論として……」 「あり得ません!!」 思わず、大声をあげる。 それまで薄ら笑いを浮かべていた女の表情は、一変して真顔になる。 呼吸を整え、頭の中で自分に言い聞かせる。 大丈夫、冷静になって。 額に落ちる雪を払いながら、黒いスーツの女の目を真っ直ぐに見る。 「たった今も、電話がありましたから。『仕事で、当分帰れない』と」
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