水嵩の理由

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水嵩の理由

 ある日、父は私を呼び出して告げた。「大叔父は殺人鬼だった」と。そして、古い手紙を渡された。 『気付いたのは三人目だ。井戸に桶を放り込んで、水音まで三秒。四人目を殺った後は二秒。五人目で一秒。そうさ。得体の知れねえのが俺に迫ってやがるんだ。  さっき六人目を殺った。まだ殺り足りねえが、井戸の底からの奴に殺られるくらいなら、俺は自分で死ぬ。  あゝ畜生、何なんだあれは。あゝ畜生、死んだ後も殺せればいいのに!』 「その後、山間の大叔父の家辺りで土砂崩れが起きて、街は湖に沈んだ。TVで不思議な湖だとか紹介されてたが、あれは我が家の業だ」 「水嵩、年々増えてるんだってね。あの紅い湖」  TVで観た映像に、私は独り震えた。
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