双子岩

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 僕は自嘲した。真っ暗な天井を見上げながら、風の音を聞きながら。この場所は重力が強い。一歩も動けない。体も随分ボロボロになってしまった。  動けないまま日々を過ごす僕は、只管、自分を責め続けた。何が勇者だ。何が挑戦者だ。何が特別な存在だ。こんなことなら、彼の言葉をもっと聞いておけば良かった。こんな場所に来なければ良かった。平々凡々だったかも知れない。だが、そこには間違いなく幸せがあった。 「この場所の、どこに幸せがあるんだ?」  そう呟いた直後だった。  爆音と衝撃が、すぐ傍で鳴り響いた。
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