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英次みたいにカッコいい大人男、にはなれてねぇけど。
「部屋、俺がいたら狭いだろうに」
「……」
もうガキじゃない。
「しばらく、甘えさせてくれるか? ホテルじゃ休まらないし、金のこともあるから、正直、助かった。悪いな。叔父貴の俺が甥のお前に」
「い、いいって! 俺は全然!」
もう子どもじゃない。英次に、憧れじゃなく、ちゃんと恋をしてる、男だよ。
「助かった」
頭を撫でる手の優しさに心臓が、ちょっとふわふわした。
ごめん。英次にとっては最悪の一日だったかもしれない。でも俺にとってはそうじゃない。俺はめちゃくちゃ嬉しいんだ。ずっと恋していた相手とこんなに近くにいられるなんてって、内心じゃ大喜びしてしまう。
俺の人生最悪の日はもう済んでる。だから、あとは良い日がたくさん、あると思う。
な? やっぱり、人生何が起こるか、わからない。
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