第1章

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見たことのある顔であった。 昔はかなり年上に見えたその顔は、今の琴音の目にはかなり幼く見える。 先程まで正に思い出していたその光景に狼狽して泳がせた視界の端に、古びた小さな瓶に添えられた紫色の小さな花が見えた。 差し出したままになっている手に、ひんやりとした小さな感触が広がる。 琴音の手をしっかりと握り返し、少年は嬉しそうににっこりと笑った。
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