第1章

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最初は、小さな違和感だった。 なにか、ある。 そう感じるもまだ幼かった琴音は上手く言葉にすることができず、そのままを母親に伝えるしかなかった。 「ママ、あそこになんかあるよ」 彼女の母親は娘の小さな指が指す先を見て得心がいったように、 「あれはね、ゴミを捨てるところ。ゴミ袋をあの箱のなかに入れておくとね、持っていってくれるの」 と微笑みながら教えてくれたが、彼女はそれは知っていた。 彼女が差したのはゴミ捨て場の箱の足元に転がる、黒いなにか、であった。
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