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最初は、小さな違和感だった。
なにか、ある。
そう感じるもまだ幼かった琴音は上手く言葉にすることができず、そのままを母親に伝えるしかなかった。
「ママ、あそこになんかあるよ」
彼女の母親は娘の小さな指が指す先を見て得心がいったように、
「あれはね、ゴミを捨てるところ。ゴミ袋をあの箱のなかに入れておくとね、持っていってくれるの」
と微笑みながら教えてくれたが、彼女はそれは知っていた。
彼女が差したのはゴミ捨て場の箱の足元に転がる、黒いなにか、であった。
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