第10話 二人でお泊まり命令

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第10話 二人でお泊まり命令

「明日から一泊で現地視察だから泊まりの用意をしておけ」 副社長地唐突に出張命令を言われる。 「現地視察ってどこですか?」 「新しく新規オープンした、イタリアをモチーフにしたホテルだ。すでにプレオープンしているが、ホテルアモーレというラブホテルのような名前が俺は気に入らなくて‥ 明日、現地視察をして名前を変更したいと社長に話をした。」 あーあ。納得がいった。新婚旅行でヨーロッパにいった人達、そして、年齢的にももうヨーロッパに行くののが大変な人。子供の養育費でなかなか夫婦だ旅行に行けない人にイタリア気分を味わってもらうために新たに新規オープンしたっていってたっけ。 以前、会議の資料に出ていたことを頭の中で思い出した。 「それとだ。新婚旅行を格安で済ませたい若い世代。クリスマスとかバレンタインデーとかイベントで利用してもらえるように。ホテルに入った瞬間からイタリア気分になってもらえるようなコンセプトで作ってある。」 「だからだ‥」 少し副社長が言い淀む 「明日は、俺とお前は恋人同士という設定だから、ラフなワンピースとか用意しとけ。スーツはNGだ。新たなホテルの従業員には、俺の面は割れていないし。支配人は明日は東京で支配人会議だから覆面調査員って感じだな。」 と言って満面の笑みを浮かべる。 「明日は敬語は禁止だ。恋人同士を演じるんだからな。あと、なんて呼ばれたい?」 恋人同士を演じる?敬語禁止?なんて呼ばれたい? もう心臓バクバク状態で一瞬婚約者がいることを忘れてしまう‥ 「わかったな!」 副社長が近づいてきて私の顎をクイっとあげる。 顔がちかいー!ー!
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