第14話 シンデレラのような夜

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第14話 シンデレラのような夜

窓の下には宝石を散りばめたような風景 あの灯りひとつひとつにいろんな人たちの生活がある そしてビジネスビルの中では、今も必死に働いている人たちがいる それなのに私は 目の前にはゆっくりとでもこちらの食事のスピードに合わせて でてくるイタリアンのフルコース そしてイタリア製のワイン 副社長は、ゆっくりとでもそれでも厳しい目で 店内をくまなく観察している そりゃそうだ。遊びにきている訳ではない。 仕事なんだ。覆面調査なんだ。 「どうだ?料理の味は」 「お・・美味しいです」 「そうだな。他に、何か気づいて点は?」 「え・・・とコース料理にしては味が少し塩気が多いものと 油分が多いものが多いかなと。若い人たちにはいいかもしれないですが、 熟年夫婦が来るには、もっとあっさりめのコースがあってもいいかも」 副社長が目を丸くする。 「来夏、お前すごいな。俺と同じこと考えていた。そう、常にお客様目線を持つことは大事だ。いや、それが一番大事かな。」 副社長に褒められてちょっと嬉しい気持ちになる。 「あとは、夜の部屋での雰囲気だな」 副社長が少しいじわるそうな目をして含み笑いをする。 「そこもお客様目線できちんと確かめないとな」 晴れやかな顔でウィンクをする。 端正な顔立ちの人だと、こんなキザな態度もかっこよく見えてしまうのだからずるい! ***つづく***
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