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改めてみると、アルギュロスってメチャメチャ強そう。契約者とのバランスとか色々と考えていた。
「心配いらぬ。我の気配を見破る者は多くはいまい」
水面に映る月のようなアルギュロスの銀色の瞳に惹かれた。真摯な態度や黒犬へ向ける眼差しを信じた。
「わかったわ。よろしくね」
黒犬をトーマに預けて、カシャからマントを取り出して羽織った。
アルギュロスと共に契約の結界を内側に施した。互いの魔力を編み上げて絡ませて、目を合わせて唱和する。
【インフィニティの摂理に従いオーブの源にて野原福子はアルギュロスと契約する】
【インフィニティの倫理に従いオーブの礎にてアルギュロスは野原福子と契約する】
同時に唱和した。
銀色と緑色が幾重の層になって、互いの中指の指輪ような環になった。これは契約の証。何れかが死に瀕して生を終えるまで契約は継続される。
「その左腕の輝きは…」
アルギュロスの呟きは福子には聞こえなかった。
「普段は“ふくこ”と呼んでね」
「ああ。我はアルスだ」
「ふふ。よろしくねアルス」
契約の結界を解除すると、子犬を抱えたトーマが迎えてくれた。
「おめでとうございます」
「ありがとう」
マントを脱いでから、もうひとつの結界もアルスが解除すると、ギルドカードの更新のため、ギルド泡沫の夢へ引き返すことになった。
召喚獣を連れたわたしを見て、驚愕の表情で固まったシェリルが、ギルドカードを上書きしてくれた。
「黒犬の里親を探して貰えますか?」
「勿論。責任をもってお預かりするわ」
「お願いします」
道すがら黒犬が一緒にいると、アルスの魔力で疲労困憊になってしまうと諭されていた。
「元気でね」
「わん!」
シェリルの豊満な胸に顔を埋めたデレデレの黒犬に別れを告げて帰路についた。
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