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主のサンダーと踊ったら仕える立場のトーマとも興じる習慣だと耳打ちされて、再び注目の的になっている。
「トーマの気苦労お察しします」
微笑んだトーマの目が柔らかくてあたたかい。
「サンダー様が人前で笑うのは珍しいんですよ。御二人を見ていて、にやけてしまいました」
「そのプチ情報は先に知りたかったです」
「アハハハハ!」
また周囲の視線が集まってる。もしやトーマの笑顔も希少価値?
「誰よりサンダー様の視線が恐ろしいです」
真顔で呟いたトーマに、思わず笑いが零れた。
「あの黒犬の飼い主が見つかったと報告ありましたよ」
「よかったー!アルスが助けたのは眷属だからでしょうか」
「黒犬は鍵だったのです」
「……鍵?」
スローテンポから転調して、リズミカルな曲に変わった。アップテンポな動きでトーマが説明を続けた。
「アルスと福子を巡り合わせる鍵です。マントの色は、自身の魔力の色と大切な家族や伴侶の魔力の色を紡ぎ織り完成されます。好きな色を決められる訳ではないのです。
紫色はあの御方の色。銀色はアルスの色。福子は金色を宿す召喚獣とも出逢うのでしょうね」
あの御方とは師匠のことだろう。森の管理者は地位がギルドマスターと同等らしい。
「マントの真意を知りませんでした。お世話になりっぱなしは心苦しいですし、トーマにお礼がしたいです」
「そんな大袈裟な。ではギルドカードの“リヤン登録”に私を加えていただけませんか」
リヤン登録とはゲーム例えるとブレンズや仲間登録のこと。特に親しい友人知人をギルドカードに登録することで交友関係や仕事経験を伝達する手段になっているという。
「嬉しいです。でもお礼になりません」
優しく微笑んだトーマに、またまた視線が集中してる。
「では次回お会いしたとき、手作りの菓子をご馳走して貰えますか」
「わかりました!」
「福子のアップルパイが美味しかったと自慢するんですよ」
サンダーのドヤ顔を思い出して、ふたりで自然に笑い出していた。
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