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人気がない場所まで来ると、サンダーがヤレヤレと肩を落とした。
「福子。頼むから自重してくれよ。貴族と関わるとロクなことはない。ロズワード家以外はシカトしとけ、シ、カ、ト」
挨拶だけして、相手をせずにスルーすればいいのかな?
「助けて頂いてありがとうございます?」
「おいおい。自分の立場をわかってないだろう?」
「すみません」
サンダーは口を押さえて笑いを堪えていたトーマをジロリと睨んだ。
「噂を流されたほうが解決早いからノッたんだが、トーマからも竜樹にフォローしろよ?逆鱗に触れれば俺が竜樹に殺されるんだからな!」
物騒な言い方のサンダーに、トーマは真剣な表情で頷いた。
「承知してます。あの御方は冗談は通じませんので。キャンベル家の接触をメールしておきます」
ねぇ師匠、サンダーやトーマとはお友達なんだよね?一方的に恐れられてマスよー。
「噂って?」
「福子がサンダー様の夜のお相手という噂ですよ」
ええっ!?そういうこと?
「フッ。福子もまだまだ若いな?照れちゃって」
「サンダー様?」
トーマが福子の代わりにたしなめた。
「はいはい」
肩を竦めながらも、ニヤニヤしてる。
「ただ師匠の逆鱗には触れないと思います」
「わかってないな福子。おっと……」
言いかけた言葉を飲み込んだ。
「ま、今夜は俺の客間で休んで貰うからな?」
「ごめんなさい」
「謝るなよ。さ、行くぞ」
「その色気だだ漏れ状態は止めてください」
「無理。人前でキスしないだけマシだと思えよ」
肩を震わせて笑うトーマに一撃してから、サンダーの自室に向かった。
ちなみにサンダーの部屋にある、使用人が寝泊まりする一室を使わせてくれた。
「おやすみ福子」
「おやすみなさい」
絢爛な部屋の片隅だと眠れないかもしれないとおもったが、杞憂に終わった。
アルスのぬくもりに委ねて、すぐに寝入った。
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