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窓を――割られる!
部屋の中に侵入される!!
シルエットから目を離さないようにして、武器になるものはないか探す。
だが当然、そんな物があるわけもない。
(どうすれば……! どうすればッッ!!?)
混乱する自分。その時……何かが聞こえてきた。
――カリッ……カリッ……
一体何の音だ……? そう思ったのは一瞬で、すぐに事態を理解する。
渡邊さんは、部屋の窓を壊したりしなかった。その代わり――
窓を……爪でひっかきはじめたのである……
カリカリ、カリカリと窓ガラスから音が鳴り響く。爪を噛む音といい……なんであんな小さな音が、こんなにも脳を掻き乱してくるのか……
渡邊さんがその気になれば、こんな窓など簡単に破壊してしまえる。躊躇もしないだろう。
だが、彼女はあえてそれをしない。
まるで焦らすように――
窓を開けてくれるのを待っているかのように――
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