無防備に

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 小鳥の鳴き声と共に僕は目覚めた。 「ふああっ、よく寝た。うう、何だか服がずれて右肩が出ているような……後何だか暖かいものがそばにあるような……」  そこで抱きしめるようにしている人物が誰なのかに僕はようやく気付いた。  ジュリオ王子だ。  僕のすぐ上の方に顔があって、今は穏やかな寝息を立てている。  その綺麗な顔に僕は一瞬どきりとしてしまった。  そう言えばこうやってジュリオ王子と一緒に眠るのはどれくらいぶりだろう。  数年ぶり?  でも気持ちがいいなと思って僕はそのまま抱きついて二度寝をしようとした、のだが。 もぞり  そこでお腹のあたりを触られて僕は、小さく悲鳴を上げた。 「な、何するんですか」 「……無防備に俺に抱きつくからだろ」 「だ、だって一緒に寝ていただけで……」 「そうだな、そんな俺の服を着て肩を出して誘うように肌を見せつけた挙句お酒でよいながら俺に抱きついたんだよな」  ジュリオ王子が苛立ったようにそう言う。  でも僕としては、 「だって、“親友”だからこれくらいは……」 「それは本気で言っているのか? ティモシー」  さらに苛立ったようにジュリオ王子が僕に言って、僕はなんだかよく分からなくて、否、考えたくなくて、僕は……。  そこでゆっくりとジュリオ王子の顔が僕に近づいてきて、僕の唇と自分の唇を重ねる。  ふれるだけの軽いキスで、それはすぐに離れた。  その時のジュリオ王子の顔はなんだか泣きそうに僕には見えた。  と、そこで声を振り絞る様にしてジュリオ王子が、 「しばらく俺の別荘に来るな」  そうジュリオ王子に僕は言われてしまったのだった。
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