2001年8月13日

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車を降りて、玄関へ向かう。 近くまで寄ると、更に禍々しさというか……寒くもないのに鳥肌がたってくる。 「普通カーテンってのは柔らかい色を使うもんだよな……」 中の様子を隠すかのように、窓には全てカーテンが敷かれている。ただヤマさんの言う通り、その色は…… 黒。真っ黒なのである。 「……とりあえず人がいるかどうかだね」 「気をつけろよ、扉が開いた瞬間に襲われないよう警戒しろ」 「恐い事言わないでほしいな……」 生唾を飲み込みながら呼び鈴を押す。だが何も反応しない。壊れているようだ。 仕方なく玄関扉を軽く叩く。ガシャガシャという音がしたが、誰も出てくる様子がない。 「すみませーん、田辺さん、いらっしゃいませんかー? すみませーん」 声を出してみるが、やはり反応が無い。留守なのだろうか? 「参ったな……どうしようか」 「近くに住んでいる家の人に聞いてみよう。どこに行ったか知ってるかもしれない」
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