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(くそ、何て事だ。あのガキ、痙攣して死んだかと思いきや、奇妙な化け物に姿を変えやがった。あの女の言った取り返しのつかない事はこれかよ)
常識の範疇を超えた予想外の展開に圧倒されたジン。
恐怖により体は硬直し、仲間が食われる様を傍観するしかなかった。
銀色の獣と化したロイはデップの肉を食い漁る。
(食う事に専念してやがる。今ならやれるか……)
ジンはゆっくりと銃口をロイに向けていく。
するとロイは食事を中断し、無機質な銀の眼(まなこ)をジンに向けたのだ。
意識がこちらに向いた為、ジンは再び動きを止めた。
あと数センチ腕を上げればロイの眉間を捉える事が出来る。
だがその先の動きは死に直結する気がしてならないのだ。
(ぐ、蛇に睨まれた蛙かよ。微動だに出来ねぇ。おそらくこいつは動くものに反応している。だが、俺がほんの一瞬腕を上げて引き金を引く事と、こいつが俺に襲い掛かる速さ、どちらが上か。どう考えても前者だろ。びびるな。奴の脳天に風穴を開けてやれ)
だが、ジンは動けなかった。
動けば死ぬ。
本能がジンの肉体を制止していたのだ。
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