境界線

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 泳ぎのタイムも素人は伸びが早いのか、彼女自身速くなっていく実感が嬉しくて充実した部活ライフを満喫。  凛たんはバッタの専門で、その滑らかなドルフィンキックは異彩を放ち、ある日の学校新聞に『我が校のプールにマナティ出現!?』と書かれた事もあるそうだ。  そんな楽しい部活の中、かなり頻繁に凛たんたち女子部員を悩ませる問題があった。それは……。 「よ、やってるか~?」  そよ、と風が吹いた。推測10ノットくらいの風。これはいつもの彼らが登場する時の序曲。  それはどこにでもいる、先輩風吹かせながら登場するすでに卒業なさった同部の先輩の方々だ。  彼らはたいてい何人かでつるんでやってきては、指導と称して……何しにきているのか凛たんたちにはわからない。  凛たんのおやつを目ざとく見つけては食い荒らし、新しいパドルに落書きなどをしては盛り上がる。……まあ、遊びに来ていたんだろう、単に。  けれどそんな事はどーでもいい。それよりナニより凛たんたちにとっての恐怖は……。 「よーし、俺らも軽く流すか~」  彼らは颯爽とシャツを脱ぎ捨てる。確かに水泳で鍛えてきた身体は伊達じゃない。見せたい気持ちもわからなくはない。
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