境界線

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 凛たんたち下級生の女の子が監視室に逃げ込んだのを、彼らは満足そうに見やる。 「大丈夫だよ~。やばいとこはちゃんと隠れてるだろ? 練習始めろよ~」  隠れてるの? あれで? やばいとこって、その境界線はどこ!?  彼らと凛たんたちの認識が明らかに違う。 「怖いよ~」  それがいたいけな女子高生の生の声。  大学生といえば、当時の凛たんたちからすれば完全に大人(おっさん)。大人の人がこんな白昼堂々と……!  凛たんたちの悲鳴を楽しんでいる彼らは、明らかにシカンを好むヘムタイに違いない。気を良くした先輩風は、今や100ノットの大嵐。  後輩を相手に、見本と言っては無駄にしなやかな飛び込みを繰り返すOBの面々。かえって、そのしるしばかりのバミューダトライアングルの存在がヘムタイじみて見える。  無い方が人として自然なのではないだろうか?(いや、それは通報モノだ)  ――だが、やはり彼らも人としては(野獣ではなく)色んな意味でいい奴らだった。  やがて彼らとも仲良くなった凛たんではあったが(お付き合いを始めた女子も居た。その彼女は明らかに凛たんより先に大人の階段を一段飛ばしで駆け上がったのだろう)、あの時のショックは忘れないと言う。
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