第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
世の中には聞かなければ良かった、知らなければ良かった、という言葉がある。 私はこの言葉の為に安眠時間が減ってしまった。 信じやすい性格というのもあるのだろうが。 リアル怪談コンテストに私は、以前体験した不可思議な事を作品に纏め投稿。 投稿したあと幾人かの方にコメントを頂いたのだが、その中にこういうのがあった。 「幽霊など霊の事を、書いたり読んだり聞いたりすると、それらのものが寄ってくるのですよ」と。 そのコメントを読んだ晩だった。 夜ベッドに横になり眠りに就こうと目を瞑ってから程なくして、ベッドの脇に誰かが座り込み、ベッドの縁に手を置いて私の顔を覗き込んでいるような気配に気が付いたのは。 私の耳鳴りの持病がある耳にも、誰かの規則正しい息遣いが顔の前から聞こえる。 身体の向きを変え息遣いが聞こえる方へ背を向けると、私の耳にはベッドの前を回り顔を向けた方へ移動する足音が聞こえ、また、顔の前から規則正しい息遣いが聞こえて来た。 目を開ければ本当に誰かがいるのかどうか分かるのだろうが、怖がりな私は目を開ける事が出来ず、ひたすら心の中で、「南無阿弥陀仏」を唱える事しか出来ない。 気の所為かも知れないけど、本当に誰かがいたら怖いという思いが強く、最近では東の空が明るくなってから眠りに就くようになってしまった。 今は夜が短いから良いけど、これからどうしよう? 私にこのコメントを寄越したお前! 怨むぞぉーー!!
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加