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【『マカロン』というのは、課長がセルフレジで購入された、あの丸くて可愛い洋菓子のことでしょうか?】
返信を打ち込んで送ると、また課長の方に目を向ける。
課長は『ニヤリ』と口角を上げると、パソコンのキーボードを叩いた。
すぐに課長からのメールが届いた。
【そうです。私が敢えて『マキャロン』と呼ぶ、あのカラフルなフランス菓子の事です】
課長の文面の『マキャロン』の破壊力に、『笑ってたまるか』と堪えた結果、『ブヒッ』という豚鼻を事務所内に響かせてしまった。
「おやおや。事務所に豚さんが紛れ込んでいる様ですね。養豚場に返してあげましょう」
何も知らない洋樹が、遠くのデスクから私を笑うと、周りの社員も一緒になって笑い出した。
「~~もう!!」
洋樹や他の社員から笑われたことより、課長に笑わされたのが何となく悔しくて、
【マカロンは、イタリア発祥説もあります!!】
鼻息を荒げながら課長にメールを打つと、恥ずかしさを誤魔化す様に音を立ててキーボードを鳴らしながら仕事をした。
何だかんだ、こういう課長とのやり取りも、交換日記の様な手料理とお菓子の渡し合いも楽しくて仕方がない。
洋樹に秘密にしておくことに後ろめたさはある。
でも、やめられなかった。やめたくなかった。
それからは、洋樹がウチに泊まらない日は、課長に手料理を作って夜の会社に持って行く様なった。
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