罪悪感はあれど、悪びれていない行動。

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 さっと玉ねぎでも炒めて肉味噌に混ぜ込んでかさまししようかな。と冷蔵庫の野菜室を開けていると、 「なんか、中途半端な量作ったね」  着替え終わった洋樹がキッチンへやってきた。 「分量間違った」  洋樹に嘘を吐きたいわけではないが、本当のことなど言えない。 「……俺さ、大学から一人暮らしで、割と自炊する方だったから分かるんだけどさ、茄子の肉味噌炒めって、作るのにそんなに時間かからないよね? 日花里、手のかからない料理を作り置きするタイプじゃないよね?」  洋樹の怒っている様な、悲しんでいる様な声を聞いて、『あぁ、洋樹は気付いているんだ』と悟った。  洋樹が浮気をした時、私はすぐに見破った。だって、洋樹がどんなに『普段通り』を取り繕っていても、ちょっとした違和感の様な変化を感じたから。  洋樹も感じ取っていたのだろう。私の課長に対する気持ちを。
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