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剣士達がいた集会所から地図を頼りに歩くと、この世界に来たばかりの初心者が迷いやすい森へとたどり着いた。
「ここ、薬草とか道具集めにはちょうどいいんだけど、魔物の数がめちゃくちゃ多いのよね。しかも地図があっても出られないし」
「『文句を言うでねぇ。危険区域の一つがここなんだから、さっさと行くだよ』」
文句を言う魔法使いに喝を入れると剣士は慣れた足取りで森の中へ入っていく。
「あっ、ちょっと待ってよ!」
剣士に遅れをとらないように魔法使いは急いで剣士の後に続く。
森の中に入ってすぐ。
普段出現する初心者向けの魔物がやけに多く、ある程度の力を持っている自分でさえ手強いと感じる強さになっている。
「『なんだ、ここの魔物はこんな強かったけか?』」
「初心者向けの森にいる魔物がそんな強くてどうするのよ。数が多いどころか強さも上がってるし、こんな序盤の場所から危険区域になるなんてびっくりだわ」
剣士と魔法使いはそれぞれの武器を握りしめると魔物との遭遇を避けるために慎重に歩き出す。
最初の場所でこの強さと数となると、目的地につく頃にはどれほどの強さになっているのか。
引き返したいとは思わないが、この世界を平和に過ごすための修正作業の重大さを改めて噛み締める。
「ちょっとそこの人達」
ささっと魔法使いの足元へこの世界のマスコットキャラとも言える小動物が止まる。
「しゃ、しゃべったー!?」
「『すんげーなー』」
魔法使いと剣士は目の前で毛繕いを始める小動物に驚いていると、「その小動物が喋れるわけないでしょ」と冷たい言葉と共に少年が姿を現した。
「あれ?どうしてあなたもここに?」
魔法使いは少年の思わぬ登場に撫でかけた小動物の手を止める。
少年はどうやら格闘家の職業についているらしく、魔法使いや剣士のような目立つ武器の代わりに籠手を装備している。
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