仮想世界の修正作業

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「どうしてって、何度試してもこの世界から抜け出せないから、修正作業の影響を受けてない場所を探してそこで待つつもりだけど。もしかして君達も抜け出せない感じ?」 格闘家ははぁ、と現状に困り果てた表情でため息をつく。 この世界を出るには集会場か一定の場所に存在している特殊な空間に包まれた紋章に記録を残さなければならないのだが、そう言われてみるとこの森に入ってからはその紋章を見かけていない。 「うーん、抜け出せないかは試してないけど、私と剣士は修正作業の原因を探しに危険区域を歩いてるの」 「具体的に原因が分かっているならまだしも、原因を探してるだけならこの世界に来る側である自分達が突き止められるほど簡単じゃないと思うよ。それに、無理に行って消えたらどうすんの?」 「『消える……』」 格闘家の言葉に剣士の心がずきんと痛む。 「そ、そんなのやってみなきゃ分かんないでしょ!それに、ここから出られないなら一緒に原因探るの手伝ってよ!」 剣士の表情を見て不安になってきたのか、思わず強気になってしまった。 「無理やりだね」 魔法使いの誘いに格闘家の皮肉を込めた口調が弱まる。 皮肉を言って諦めるかそのまま引き返すだろうと思っていたのだろう。 「『原因探し、手伝ってくれるんか?』」 「それについては悪いけど、いくらここから出られないからって雲を掴むような原因探しなんて迂闊なことはしたくないし断らせてもらうよ」 格闘家の元へ小動物が駆け寄ると、格闘家はそれに応えるようにして小動物の頬を優しく撫でる。 「『だよなぁ』」 手探りの、それもどんな悪影響が起きるかもしれない行動にそう簡単にのるわけないか。 魔法使いとは反対に、剣士はやっぱりな、とこれ以上の誘いはしなかった。 「ところで、なんで剣士の人は文章モードなわけ?」 「『訛りがひでぇから文章モードに切り替えてるだけども、気になるなら直すで』」 「いや、いい」 文章モードのはずなのに、会話として長いからか先程よりも訛りが強く見られる。 格闘家は丁重に断りつつも、「僕のことはともかく、急ぐんならさっさと安全なところに行ったほうがいいんじゃない?」と話題を変えた。
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