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「むー、一緒に行けないのは残念だけど、そう言われちゃうと無理強いは出来ないものね」
魔法使いは諦めきれていないながらも残念そうに格闘家に別れを告げると、「えーっと、この森での影響は魔物の数が増えたってことと初心者向けに合わない強さになってるってところね」と先程の戦いを振り返ってまとめ、森を抜けるための地図を確認する。
「へぇ、どおりで魔物の数は多いし手強いと思ったら修正作業の元の原因だったんだね」
「『集会所はこの世界とは別の場所だったからかなんともなかったけんど、森みたいな物語に関係する個々の区域に影響がありそうなんだ。俺らは違うところに行くけんども、格闘家の人も魔物に気をつけて待機しててくれ』」
「へぇ、心配してくれるんだ」
「同じ世界にいる仲間だからな。じゃあ」
剣士は魔法使いに続くようにして歩き出すと、格闘家は「待って」と静かに口を開いて二人の足を止めさせる。
「『どうした?』」
「この森、出入口がなくなってるはずなのに一体どうやって入ってきたの?」
「えっ、普通に入ってこれたけど?」
この森には少し前入ったばかりだが、魔法使いと剣士は特に変わったことはしていない。
だが、もし出入口が塞がれる前に来て、すぐに塞がれてしまっていたら?
「……!!」
嫌な予感がする。
敵の難易度や数が本来ではありえないものになっているのだ。
区域自体に異常が起きても不思議ではない。
「『〝詰み〟だな』」
木々の葉が擦れ合う音に似た不快な雑音は剣士達が来た道を忘れさせるかのようにして変えていった。
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