歴史の真実

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「あの日、わが父の部下が反乱を起こした……父の名を語ってな。父は信長公を守って奮戦したが、無念にも討ち死にしたのじゃ。その偽物は秀吉公と争い敗北。秀吉公も偽物と気付いたが、事を丸く収める為に真実を隠し、父の亡骸を晒して見せしめとした。わらわに真実を伝える力は無く……」  俯き、悔しそうに体を震わせる珠姫。気の毒だなとだけ感じた輝とは違い、亜紀と美優は号泣して珠姫を抱き締める。 「分かるわ、珠姫ちゃん!」 「そうよね。ご先祖様の無念を晴らしたいよね!」 「分かってくれるか、亜紀殿! 母上!」  ……  ……  どうしよう? 自分一人だけが理解出来ないと輝は悩む。  幸せな日常を取り戻したい……願いはそれだけなのに。 「取り敢えず夕飯を食べましょうか。美優ちゃんも珠姫ちゃんも御一緒にどうぞ」 「有難う、亜紀ちゃん。私も手伝うわ」  母親たちの順応は早く、すでにいつもの日常へと戻っている。残された輝が恐る恐る珠姫の顔を覗き込むと、優しい珠子の瞳に戻っていた。 「珠子……か?」 「うん。疲れちゃったのか、珠姫ちゃんは寝ちゃったよ。輝君、これからどうしよう?」 「もうやってると思うけど、先ずは珠姫に現代の常識を出来る限り教えておけよ。急に珠姫が出て来て変な真似をしない様にな。その後の事はゆっくり考えようぜ……大丈夫だ、俺に任せておけ」 「……分かった」  不安に押し潰されそうなのが声で伝わる。珠子の辛そうな表情を直視出来なかった輝は、迷いを捨てて決意した。  突然現れた珠姫なんかに幸せな日常を壊されてたまるか。俺が必ず珠子を助けてやる……使命感に駆られて心が熱く滾る。  珠子と美優が食事を終えて家に帰ると、輝は解離性同一性障害と戦国時代の情報を調べ始めた。
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