73人が本棚に入れています
本棚に追加
息を飲む激しい攻防が繰り広げられる。
「何と、ここまでとは!? 素晴らしい……私が戦ってきた同世代の中で、あなたはトップクラスの実力を持っています」
「三歳の頃から祖父に鍛えられているからな。俺を倒せるのは輝だけだ!」
華麗な動きに翻弄され、茉莉や秀樹も立場を忘れ見とれてしまう。
「ふむ……素晴らしい才能と努力ですが、惜しい。私以外なら誰にでも勝てたでしょうに……」
少しずつ明石の動きが早くなって行く。そして、利彦に攻撃が当たり出した。
「グフッ!?」
「大人しく降参しますか?」
「俺は……負けない……」
「何故、そこまで意地を張るのですか? 私と一緒で、強い者と戦うのが楽しいからでしょう?」
「一緒にするな! 妹が泣いている……それ以上の理由など無い!!!」
渾身の力を込めて拳を振り下ろす。
だが無情にも拳はかわされ、反撃の蹴りが胸を直撃した。
「フフッ、終わりです……なっ!?」
誰もが倒れると思った利彦だが、胸を打ち抜いた明石の足を放さない。そのまま引っ張り上げ、明石の背中を地に付ける。
「今だ、勝也! 男を見せろーーー!!!」
「ウオオオオオオオ!」
勝也は痛む体を無理やり起こし、利彦を飛び越えて明石の腹へと膝を落とした。
「グハッ! ……邪魔だ、どけ!!! なっ、待っ……」
明石が勝也をふっ飛ばす。
その先に見えたものは、鬼の形相をした利彦の拳。
「終わりだ!」
渾身の一撃が顔面を捉え、鈍い音と共に明石は気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!