守るべき理由

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 茉莉の体の痺れが取れ始め、腰を抜かした秀樹は三人に見下ろされる。 「お前が馬鹿な事を口走っている動画を知り合いに送った。俺たちに何かあれば拡散しろとメッセージ付きでな」 「すまん、悪かった! 私はお前の……いや、あなたの言う通りそこまで力が無いんだよ。本当に力があれば、いくら可愛いからって茉莉にそこまで執着しない……あっ、いや、その……」  怒りを通り越して、惨めな秀樹に同情すら感じる。茉莉は大きくため息を吐き、秀樹に顔を近づけた。 「分かったわよ。この先、私たちに関わらない。悪さもしない。これが守れたら……」 「許してくれるのか?」 「情報の拡散はしないわ。それと不本意だけど、今回はこれで許してあげる」  茉莉はニコッと可愛らしく笑い、恐ろしい勢いで秀樹にビンタを喰らわした。 「ハブッ!!!」 「ふう……少しだけスッキリしたわ」  振り向くと、利彦と勝也がガタガタ震えながら抱き合っている。 「……何よ?」 「何でもありません!」 「じゃあ行くわよ。輝と珠姫ちゃんが心配しているだろうからね」 「あっ、そう言えば……輝さんと珠姫さんも帰って来ないんだ。マツ姉ちゃんがピンチだったから忘れてたけど、あの二人も何処かへ行っちゃったんだよ」 「それは俺……いや、僕も思っていた。最初はいなくなった心友を探していたんだけど、マツの話を偶然聞いて……」  三人は顔を合わせ、秀樹に詰め寄った。
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