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「えっと、確か細川ガラシャって明智光秀の娘で間違いないわ。歴史オタクのお父さんが言ってたもの。キリスト教で洗礼を受けて、新しく授かった名前がガラシャ。洗礼を受ける前は細川珠子。結婚する前は明智珠子だったはずよ」
「だから何だよ。あれは珠子だろ? 俺達をからかってるだけじゃないのか?」
「あの目を見なさい……あれが珠子ちゃんだと思う? そもそも、珠子ちゃんがそんなイタズラしないって、あんたも分かってるでしょ」
腕を組んで動かず、輝を見据えるその瞳は目力がありすぎて怖い。見た目は珠子だが、亜紀の言う通り別人と感じてしまう。
意を決して、亜紀が探りを入れ始めた。
「あの、珠子ちゃん……じゃなくて珠姫ちゃん? なんで珠子ちゃんの中に居るの?」
「魂の波長が合ったからではないかのう? 気が付いたら珠子の中で眠っていたのじゃ。わらわは神の御導きと思う事にしたぞ」
話から推測すると、どうやら階段から落ちたショックで眠っていた魂が起きてしまったらしい。証拠は目の前にいるが、それでも信じられないのは非現実的過ぎるからだろうか?
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