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「分かった、渡すから珠姫を放してくれ!」
ポケットからネックレスを取り出し、才蔵へと投げつけた。
「ご苦労。ほら、返してやるよ」
珠姫が解放されると、輝はすぐに駆け寄り抱きかかえる。
「大丈夫か!?」
「わらわは……大丈夫じゃ……それより……あやつを……」
「分かった、待ってろ……」
輝の目付きが変わり、才蔵を睨み付ける。
「一つ聞くぞ? そのネックレスと宝石をどうするつもりだ?」
「二つが交われば魂が浄化される。私の中に眠る前世の魂が邪魔でな……」
「可児先輩の魂を消す気か!?」
「それだけではないぞ。上手く行けば魂だけの転生を繰り返し、来世の魂を消し続ければ、俺は永遠に生き延びる事が出来るのだ」
才蔵の考えに珠姫は戦慄が走った。
もし自由に魂を子孫へと移動させる事が出来たなら? 台座と宝石さえあれば子孫の魂を浄化して、常に自分の魂を子孫の体に留められる。それを繰り返し行えば、子孫が潰えない限り永遠の時を生きる事も可能。
「但し、調べねばならない事がある」
珠姫は才蔵の言う意味を理解し、震える声を必死に絞り出す。
「魂の浄化と言うが、どの魂が浄化されるのか……それを知りたいのじゃな。現世の魂か、前世の魂か、それとも全ての魂なのかを」
「その通りだ。だからガラシャよ、お前にはもうひと働きして貰わねばならぬ。せっかく放してやったのだ。池田輝と最後の別れをするがよい」
このままでは実験台にされる。自分が消えるのは問題無い。だが、もし珠子の魂が消えてしまったら? そう考えると、珠姫の震えは更に激しさを増す。
そんな珠姫の体を覆う様に、輝が力強く抱きしめた。
「もう油断はしない。大丈夫だ、俺がついている……」
珠姫の震えがピタリと止まる。
そして輝の闘志が燃え上がり、才蔵の気迫を押し返した。
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