福寿草

第一章 あの日の誓い

｢乗りなさい」一言挨拶を交わし俺は渋々車に乗った。
助っ席には男性がいた。

この感覚にはもう慣れている。
必ず聞かれる事が
「お腹空いてるでしょ？何か食べたいものはあるかい？」
と、言われるのだがもはやマニュアルだと思っている。
なので言われる前に俺はこう答えた。

明寿 「あのー焼肉が食べたいです。」

この言葉を言うのは三回目で三回とも焼肉に行った。
一人目は夫婦で割と金持ちで高級車に乗っていてCHANELの鞄を持ちヒョウ柄ぽい服を来ていて何でも好きなもの食べなさいなどと言われたがすぐに施設に返された。

二人目も夫婦で一人目と変わらずお金持ちなのだが女性の方がアルコール中毒の為常にお酒を飲んでいた。
そのお陰で俺はストレス発散の的になっていた。

その為に人の反応を見てお金持ちか貧乏かわかるようになった。
そんな事を考えているととんでもない答えが飛んできた。

「あんたねぇ、いきなり焼肉食べたいですはないでしょ、まず自己紹介したりお願いしますとかないわけ？これは常識よ。」

と言うと心の奥に溜まっていた感情が一気に爆発して俺はマシンガンのように喋りこう言った。

明寿 「元々知らねーんだよ常識なんて、昔から母親も父親もいねぇ、箸の持ち方だって算数のやり方だって習ってねーまともな飯など食えたことなんてないし知らねーよ常識なんて。自己紹介？じゃああんたらがしろよ最初に、俺は引き取ってなんて頼んでもいないし助けて何か言った覚えもない。勝手にずかずかはいってくんじゃねーよ」

凄い剣幕で俺は車を出て走っていった。