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最終章 『二人で、見上げる』
~遊馬新~
季節は夏に変わり、八月。
ひじりから突然の別れ話を持ち出されてから二ヶ月。
あの時はどうして避けられているのか分からず、すれ違っていたが、その後同じことはなく、仲良く付き合えている。
ひじりは俺のことを好きだと言ってから、心を許したのか以前より笑うようになった。
今日は街の花火大会に行くことになって、夕方、ひじりの家に誘いに行く。
すると、玄関から出てきたひじりは紺色の浴衣を着ていて、髪の上げており、いつもより大人っぽい。
自分は浴衣を持っておらず私服だが、二人で合わせてもよかったのかも。
「可愛いね」
ついつい出た本音に、ひじりは恥ずかしそうに笑う。
「行こうか」
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