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「ひじり、最近暗いわね。何かあったの?」
「……ううん、何もない」
「顔色悪いわよ」
「……大丈夫」
別れてほしい、と自爆してから丸一週間、環境は変わらず、私は母に不審がられて学校へ向かった。
六月、梅雨に入ったのか数日雨が続いている。まるで、私の心を表しているかのよう。
「ひじり、最近暗いね。何かあった?」
さすが友達、恵からも母と同じことを聞かれたが、私は首を振った。
別れようと言ったのは自分のせいなのに、まだ受け入れられていないのは私の方で、噂になるのが嫌で口を開かなかったのだ。
幸せだったのに、頑張りもしないで、幸せを手放してしまった。
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