第八章 『私の好きな人』

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* 「ひじり、最近暗いわね。何かあったの?」 「……ううん、何もない」 「顔色悪いわよ」 「……大丈夫」  別れてほしい、と自爆してから丸一週間、環境は変わらず、私は母に不審がられて学校へ向かった。  六月、梅雨に入ったのか数日雨が続いている。まるで、私の心を表しているかのよう。 「ひじり、最近暗いね。何かあった?」  さすが友達、恵からも母と同じことを聞かれたが、私は首を振った。  別れようと言ったのは自分のせいなのに、まだ受け入れられていないのは私の方で、噂になるのが嫌で口を開かなかったのだ。  幸せだったのに、頑張りもしないで、幸せを手放してしまった。
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