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新君も何か思うことがあるのだろう。私には言いはしなかったものの、不満も大きいのかも。
「そんなに暗い顔をするならさ、俺と付き合えばいいじゃん」
私の身長に合わせて屈んで、千葉君は優しい笑顔を向ける。
だが、その笑顔に笑い返すことは出来なかった。
「新君のことが……好き」
「ひじりちゃん」
「ずっと頭の中で考えても分からなかった。……でも、いつの間にか、新君のこと……好きになってた」
「本心?」
「……うん。だから……千葉君とは、付き合えない」
新君のことが好き。これからもずっと一緒にいたかった。
でも、それはもう敵わぬことになってしまい、とても後悔している。
そのうち、うるうる瞳が涙を溜めて、ポロリ涙の粒が頬に伝った。
──新君のことが、好き……。
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