第八章 『私の好きな人』

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 新君も何か思うことがあるのだろう。私には言いはしなかったものの、不満も大きいのかも。 「そんなに暗い顔をするならさ、俺と付き合えばいいじゃん」  私の身長に合わせて屈んで、千葉君は優しい笑顔を向ける。  だが、その笑顔に笑い返すことは出来なかった。 「新君のことが……好き」 「ひじりちゃん」 「ずっと頭の中で考えても分からなかった。……でも、いつの間にか、新君のこと……好きになってた」 「本心?」 「……うん。だから……千葉君とは、付き合えない」  新君のことが好き。これからもずっと一緒にいたかった。  でも、それはもう敵わぬことになってしまい、とても後悔している。  そのうち、うるうる瞳が涙を溜めて、ポロリ涙の粒が頬に伝った。  ──新君のことが、好き……。
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