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泣きながら謝ると、千葉君ははぁーっと、大きな息をついて、私の頭をポンポンと優しく撫でる。
「痴話喧嘩でもしたんでしょ。道場から新呼んでこようか?」
「……大丈夫。本当に……ごめんなさい」
「もういいよ。俺のことを男として見てくれた上で新を選ぶなら、しょうがないよね」
「ごめん……」
「もー、謝らないでよ。惨めになるじゃん」
アハハ、と笑う千葉君に、涙が止まらなくなって腕でゴシゴシ拭いながら、鞄を持って一緒に弓道場へ向かう。
道場へ向かうまでには、涙を止めようと必死になって目を擦ったが、それが逆効果だったのか──。
「おーい、新、ひじりちゃん来たよー」
道場に入って千葉君が呼ぶと、弓を引くのを辞めた新君がこっちにやって来て、目を丸くする。
「ひじり、どうしたの。泣いてる?」
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